2004年12月21日火曜日

ITERが読めますか?

ITERこと国際熱核融合実験炉の建設地をめぐり、国際的なバトルがここ数年にわたって繰り広げられている。

ITERとは、太陽が燃える仕組みと同じで、重水素、三重水素といった軽い元素を融合させてエネルギーを生む核融合を実験するための施設。実現すれば燃料1グラムで石油8トン相当のエネルギーを生むことができるとされ、人類の恒久的なエネルギー源として国際的な注目を浴びている。

建設地の候補は、計画当初名乗りを上げていたスペイン、カナダは脱落し、今ではフランスのカダラッシュと日本の青森県六ヶ所村に絞り込まれどちらに建設するかの一騎打ち状態。ちょうど昨年の今頃、閣僚級会議でその建設地の決定へというニュースが出ていたのだが、フランスと日本どちらも一歩も引かず、結局のところ一年も結論が持ち越しされている。

最近になって、もつれにもつれた建設地合戦は、「EU案をのまないならEU側でフランスに建設してしまう!」とか、「それなら日本も、日本側で建設できるようにするさ!アメリカがバックについているんだぜ」といった展開になってきた。私風に訳せば。

どうして建設地が決まらないのか。フランス側にはEUはもちろん、中国、ロシアがバックにつき、日本側にはアメリカ、韓国がつくという国際情勢丸出しの構図がその理由の一つだろう。

これだけいろんな国が絡んでいるということは、その建設地の利益とリスクは相当なもの。国際宇宙ステーションに次ぐ規模と言われ、30年間の総費用は1兆3千億円、建設費は10年間で5千7百億円、運転費は20年間で6千億円。

成功すれば夢のエネルギーだがその危険性も計り知れない。事故が起きればチェルノブイリにも匹敵する規模の被害が及ぶとしてあのノーベル賞受賞者の小柴昌俊さんらが、誘致をやめるよう政府に嘆願書を出している。

一番驚きなのは、こんなビッグプロジェクト、国民の理解を得ているとは思えないまま強引に進められているということ。ITERが読ますか?

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