2006年9月18日月曜日

香道はソムリエだった

ソムリエになるためには記憶力が要らしい。

ワインの味を覚えておくための記憶力。

味を覚えておくといっても、甘い、塩辛い、酸っぱいの世界ではなく、ワインの微妙な味の違いを覚えておくのだから、舌の記憶だけではつたない。そこで機能してくるのが味を表現する言葉だそうです。

一口ふくんだ感覚を過去の記憶と結びつけて言葉にする。
土の香りの感じ
朝露の雰囲気とか
雨が降った後の湿っぽい感じ…etc

そうやって、自分の言葉で表現できるほど、味を覚えておけるということだそうです。

ソムリエになる勉強はしたことがないので、「へぇ」ぐらいに聞いていた話なのですが、香道も全く同じ事が言えるではないですか。

聞香で3つ4つ香りを聞き分けるわけですが、あの繊細な微妙に若干だけしか変わらない香りを聞き分けるなんて、鼻の記憶だけでは不可能。

一度聞いたらその香りを必死に過去の記憶や自分の持つイメージと結びつけようとします。「えぇっと、この香りは、そうだ、苦い薬を飲んだときの香りだ」とか「うーん、これはこれは、キャンプをして、朝早く起きたときの光景が浮かぶ」とか。

とにかく自分の記憶と照らし合わせ言葉と結びつける。

香道はそうやって、それぞれが、それぞれに香りを聞き分けるために、香りを表現する共通言語というのがない。味覚とは別世界。だから、その微妙で複雑な世界を自分なりに理解しようと深く深く香りを聞こうとする。そして深い深い別世界が見えてくる…。

別世界の声が聞こえる、だから聞香。香りをかぐではなく、聞くと表現する。

本当は香りを聞くというのは、中国から到来した言葉から由来するらしいですが、私はこの「別世界の声が聞こえる」という説の方がミステリアスで違う世界に足を踏み込む感じがとても好き。

伽羅、羅国、真南蛮、真那伽、佐曾羅、寸聞多羅、新伽羅

こういう独特な単語も、違う世界な感じでわくわくしますしね。

で、ワインを飲み続けて、深い深い味の世界を知ろうとしたときに、別世界が見えてくるのでしょうか。興味津々。

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