2004年7月16日金曜日

キムチの謎が解けた時

いまだかつてない韓国ブームにのってか、フジテレビの月9ドラマ「東京湾景」が始まった。あんまり面白くなさそう・・・と言いながらも在日韓国人の友達のことを思い出し、気が付くとしっかり第2話も見ていた。

私の友人の美樹ちゃんはこのドラマの中の仲間由紀恵ふんする木本美香とちょっと似ていた。25歳、在日韓国人3世で彼氏は日本人。両親はともに韓国人だが日本に帰化していて、名前も外見も中身も日本人にしか見えない。ドラマと違うのは美樹ちゃんはもっとさらっと人種をとらえていた。

美樹ちゃんに知り合ったのは旅先でのこと。ドイツで同じユースホステルに泊まっていてベッドが上と下の関係から始まった。意気投合してドイツの小さな村で丸一日一緒に観光した。いっぱいおしゃべりをした。日本にいる彼氏や家族のこと、ドイツ周遊中に出会った珍事件などなど。その中で一つ同じ体験をしていた。

私    「外国にいると中国人とか韓国人に間違えられるよねぇ。」
美樹ちゃん「あるある、私もこの間韓国人に韓国語で話しかけられてびっくりした。日本人って韓国人と顔似てるもんね」

このとき美樹ちゃんはまだ自分のことを韓国人だと知らなかった。日本に帰ってから私は横浜、彼女は大阪在住で、もう会うこともないかなと思っていたけれど、1年後美樹ちゃんが私の家を訪ねてきた。「横浜に遊びに来た」

一緒に中華街をまわって、小さな路地の韓国料理屋の前で美樹ちゃんが言った。

「私、実は韓国人やねん」

彼女は20年間日本人だと思って育っていた。そして20年目にして初めて親から告白されたそうだ。
両親も韓国人。親戚もおばあちゃんもみーんな韓国人だと、このとき知った。「ちょっとショックだったけど、生活も特に変わらないし、彼氏も最初は驚いてたけど、今は何も変わらない」そうだ。

両親は隠そうとしていたわけではなかった。
子供にもタイプは色々ある。傷つきやすい子、感じやすい子には成長の過渡期には伝えないほうがいい。彼女の弟は自分が韓国人だと知っていた。中学生ぐらいから知っていて、お姉ちゃんには黙っておくようにと親に言われた。かくして身内の中で彼女だけがそれまで韓国人であることを知らなかったのだ。

美樹ちゃんはこのとき一つの疑問を解決した。子供の頃からずーっと疑問に思っていたけれどわからなかったこと。

それは自分の家の食卓には毎日キムチがあった。親戚の家にもおばあちゃんの家にも当たり前のように自家製キムチがあった。でも友達の家に遊びに行くとキムチはない。何でだろう・・・?とずっーと思っていたそうだ。

以来、美樹ちゃんからは1年に1度キムチのおいしい時期になると、自家製キムチが送られてくる。おいしいよ、また食べてね!とのメッセージ付きで。

韓国人でも日本人でもあまり変わりなく、むしろ韓国人であることを楽しむかのように今をたくましく生きる美樹ちゃん。

私にとっても彼女が何人であろうとあまり関係ないのであった。

0 件のコメント: