先日、フローラン・ダバディを街で見かけた。トルシェ監督の通訳係として来日し、今では文化ジャーナリストだったり、ファッション誌に登場したり、本を執筆したりとセレブな活躍をみせているフレンチの彼である。
家に帰って買ったばかりの雑誌を開くとなんとさっき会ったばかりのダバディさんが執筆した記事が載っていて、読んでみたらけっこう面白かった。ダバディ節が炸裂していた。つまりとってもコスモポリタンな意見なのだ。
記事の内容は、「オリンピックは滅び行く方向に向かっている。これからは国のためではなくて個人が自分のために戦う『人』を祝う祭典にしよう!」といったものだった。
コスモポリタンな地球ではプロのアスリートは自国にいることにこだわらず、腕を磨ける国へと移っていく。昨日までフランス代表チームで戦っていたアスリートが、今日にはアメリカの代表選手として戦っていることだって起こりうるのだ、と言いたいらしい。
国境という枠にとらわれず、いいものはいい!という彼のメッセージはちょうど1年前に聞いたことと通じるものがあった。
昨年の6月下旬、横浜で毎年開催されるフランス映画祭にゲスト出演し、フランス映画への熱い思いを語るとともにあまりフランス人らしからぬコメントが面白かった。
時期としてはそう、アメリカとフランスがイラク戦争に対して異なる方針をうちだして険悪ムードが漂っている頃だったので、フランス絶賛、アメリカ大批判で終わると予想していた。ところが、
「フランス映画だから面白いとかハリウッド映画だからつまらないというのではもうナンセンス。もっと広い視野で文化を捉えたい。どこの国から生まれた映画だから面白いというのではなくて面白いものは面白いものとして評価していきたい。そうすることが互いの国の文化を成長させるのではないか。」
ダバディさんの前に美輪明宏氏もゲストで来ていてコメントの際はアメリカを批判しまくり、フランス映画およびフランス文化をを絶賛した後だった。
同調しないダバディさんの横で、美輪さん、ちょっとしかめっ面になるという感じだった。自分の主張を述べたダバディさんはちょっとかっこよく見えた。
一見するとちょっとミーハーなコスモポリタンに見えるダバディさんだが、去年のフランス映画祭以来、ただの軽いセレブじゃないんだなと見直した。
今回のオリンピックの記事も面白かった。見た目も頭脳もスマート!ダバディさん気になる存在になりつつあるのだった。
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